音楽で食べていくとは その2
安達たけし
考察2:広い視野と継続による音楽界との関わり
音楽を職業としていくことは、非常に困難な選択であることは周知の事実です。しかしながら、逆の見方をすれば、「チャレンジしない人、継続ができない人、困難に立ち向かえない人」が、世の中には多いとも言えます。
かつて私が若い頃、ある著名ミュージシャンに「安達くん、40歳まで諦めずに続けてごらん。必ず食べられるようになるから」という言葉を言ってもらったことがあります。
私は、その言葉の真意がなんであったのか?当時いつも自問自答していました。これから書くことは、私なりに導き出したその答えの一つです。
「継続は力なり」とは?
よく「継続は力なり」と言いますが、「どうしてそうなのか?」が語られることはあまりありません。継続とは信頼の積み重ねです。
どんなに才能豊かなミュージシャンであってもそれを手助けしてくれる人の力なくしては、それが生かされることはありません。
継続することにより多種多様な人脈が出来上がり、そこに才能と努力があれば、その人脈によってあなたは、生かされていくのです。
地道な信頼の積み重ねにより、多くの人と出会うことで人脈が出来上がり、自分が認められていく、それが「継続は力なり」の音楽における本当の意味なのです。
音楽の仕事は一つではない
誰もが「バンドを作りデビューしたい!」「ミュージシャンとして売れたい!」など語ります。
それ自体は大変、素晴らしい夢であり目標ですが、同時にそれは音楽界における表面の一部でしかないという認識も今のうちから知っておきたいところです。
音楽界は、実にたくさんの仕事内容によって支えられています。
ライブハウス経営、音楽雑誌編集、レコード会社、芸能事務所、エンジニア、音響、スタジオ経営、広告代理店、音楽講師、音楽学校経営、コンサート運営、その他、数えればキリがありません。
そして、その全ての仕事が「バンドデビュー」や「ミュージシャンとして売れる」ことと、同等以上の価値がある仕事だと認識することは重要なことです。
自分の夢を超えた使命とは?
先に書いた2項目を考慮に入れた上で、例えば、あなたがバンドデビューするために一生懸命、何年も頑張ったが、それでもその夢を叶えることができなかったとします。
しかしそれは無駄なことだったでしょうか?もし、あなたが本当にそのために努力していたとすれば、その姿は必ず誰かが見ています。そしてバンドデビューは出来なかったけど、
●「あなたの姿を見たレコード会社の人が、あなたの真面目さを生かして、是非、うちで働いてくれないか?と言ってきたとしたら・・・」
●「あなたの姿を見たライブハウス経営者が、今度、新しい店を出すんだけど、あなたのバンド運営能力を生かして、その店を任せられないか?と言ってきたとしたら・・・」
●「あなたの姿を見た音楽学校のスタッフが、あなたのギターテクニックは素晴らしい。是非、うちの講師になってくれないか?と言ってきたとしたら・・・」
これらの事由は、音楽を追い求める形は変われど、あなたは音楽界で認められた存在になったと言えるのではないでしょうか?私は人には「与えられた使命」というものがあると思っています。
自分の夢は大事です。そしてそれが叶うことも素晴らしいことです。しかし、それと同じくらい、人が天があなたに何を求めているか?も重要なことなのです。
そして、その使命に出会うことができるのは、継続して努力した人だけの特権なのです。
今、自分が音楽のために「やっていること」、または、「やりたいこと」を一心不乱に頑張り、継続することにマイナスの要素は一切ありません。
私のアドバイスを参考に決して諦めず。広い視野と継続で、しっかり音楽の道を歩んで頂きたく思います。