経験論文

Written by Yosuke Hamanaka

 

~アーティストをサポートするということは1~

アメリカでの留学生活を終え、日本に帰国して以来、今までたくさんの方のサポートの仕事をさせていただいてきたのですが、実際どのようにして仕事まで結び付くのか?または結び付けるのか?と思っている人はたくさんいると思います。楽器の実力ならだれにも負けない自信があるのに仕事にたどりつけないという人のために、今回の第1回目ではアーティストをサポートするまでの私の経験をお話したいと思います。
 

ゼロからのスタート

名古屋出身の私は帰国後すぐに上京しましたが、東京には留学時代の知人が少しいただけで、ほとんど知り合いがいない状態でした。サポートの仕事は一般的に雑誌などで募集される事はほとんどなく、アーティストが直接信頼のおけるミュージシャンに依頼するのがほとんどです。
そこでまずは「地道に人脈作りを!」ということで私が最初に行動したことは、バンドメンバー募集サイトでメンバーを探すことでした。自分のバンドで活動するという事は、バンド自体の活動で成功するという目標以外にも、他のミュージシャン、ライブハウスの関係者など、様々な繋がりを作るきっかけになると考えたからです。
 

過度な売り込みはしない!

バンド結成後は、ライブ活動や営業活動に力を入れ、ミュージシャンの人脈を増やすことを努力しました。バンドで活動すると色々な人と会う機会があります。この段階で過度な売り込みはしません。初対面の人にお互いの事を何も知らないのに自分を売り込みすぎる事は逆効果になるかもしれません。名刺を交換して世間話をする程度でも充分。あくまで目的は顔見知りになるという事。数年後、偶然の再会から新たな何かが発生するということも考えられます。
こうして繋がった人脈から直接サポートの依頼が来たり、他のアーティストを紹介していただいたり、人脈のネットワークを拡大でき、サポート活動の幅も広げることが出来ました。
また音楽事務所を紹介していただき、所属することによって、メジャーアーティストのライブ、PV、TVなどのサポートに結び付く事も出来ました。
 

音楽の知識だけがすべてではない!

一見よくある話ではありますが、その地道な行動を丁寧にしていくことが一番大切な事です。例えば人との出会いから次のステップに進むためには人間関係、信頼関係はとても重要な事です。仕事の話になるならば社会的常識や社会的知識があった上で対人関係が出来た方が良い関係は築きあげられます。
私も当時は色々と分からない事だらけでたくさんの失敗もしましたが、実際にその状況から物事を学ぶこともあれば、人に聞いたりして学んだ結果が、人脈作りから仕事に結び付いたのだと思います。
次回はこうして仕事に結び付いた現場(サポート演奏)で要求されるものに焦点をあてたお話をしたいと思います。
 
 

2010年2月14日 GUITARの東大インストラクター 浜中洋輔


 

~アーティストをサポートするということは2~

第1回目のコラムではサポートの仕事へ至るまでの私の経験談をお話ししました。今回はいよいよ自分の演奏を発揮することになるのですが、テクニックだけでしたらこの世の中、上手な人はいくらでもいます。それでは、その中で生き残っていくにはどのような事が必要なのかを私の経験からお話ししたいと思います。
 

ライブ資料をしっかりとチェック!

サポートの依頼が来てOKと返事してから数日すると、ライブ資料として譜面と音源が送られてきます。送られてくる譜面は、全バンドパート共通で使うリードシートが一般的です。リードシートとは歌のメロディーとコード進行と必要最小限のリズムのみが書かれているもので、ギターはどこのパートを弾くのか、どの音を弾くのか、ということは指定されていません。中にはギターフレーズパートが親切に書いてくれる場合もありますが、TAB譜で書かれているという事はまずないでしょう。音源に関しては、市販ですでに販売されている完成された音源もあれば、ピアノやギターの弾き語りの状態のものなどで様々です。
 

リハーサル時に要求される事は?

ライブ資料が送られてきたら次はリハーサルの準備です。ここで完成された音源を送られている場合、自分のパートはもちろんのこと、同じ役割の他の楽器パートも弾けるようにしましょう。また、後で詳しく書きますが、曲をしっかりと理解する事がポイントです。
さて、これでリハーサルの準備は整い、練習の成果を発揮したいところですが、曲によってはリハーサル中に突然「半音上で」、「ジャズっぽくやろう」など、音源とは全く違うことを要求される事や「音源にはピアノがあったのに実際はピアノがいなかった」などということは多々あります。
つまり、リハーサル時に必要な事は、
 
① 判断力
② 対応力
③ 応用力
 
もちろんこれは本番においても同じく必要な事になりますが、少し具体的にまとめてみましょう。
 

テクニックだけがすべてではない!

市販で売られているバンドスコアなどでCDに合わせてコピーするという事は、テクニック、リズム感、音感など、総合的な向上への練習になりますのでとてもよいことです。しかし、ただ譜面をなぞる事が出来るだけでは曲を理解しているとは言えません。曲を理解するという事は、
 
① コード進行が分析できる
② メロディーとそのバックに流れているコードとの関係が分析できる
 
この2点が理論的にしっかり理解できれば「この小節にはこういうフレーズも面白いだろう」、「ここにこのコードを弾いてあげると歌がスムーズに聞こえるだろう」という具合に判断力、対応力、応用力に繋がります。そしてこの土台として、今までコピーしてきたジャズフレーズ、ブルースフレーズ、ロックフレーズ、またそれぞれの表現方法やそれを補えるテクニックが自分の引き出しにたくさんあれば必ずミュージシャンとしての成功に近づくでしょう。
 
 
 
 
いかがでしたでしょうか?私自身も過去にたくさんの苦労をしてきましたが、その苦労の結果が今日の私だと思っております。技術を向上させるだけでなく、理論的な知識を技術に結び付けることが良いミュージシャンになるための最低条件の一つと言えるでしょう。皆さんもそれぞれの目標に向け頑張りましょう!
浜中洋輔
 
 
 

2010年3月5日 GUITARの東大インストラクター 浜中洋輔


 

~浜中洋輔のレコーディングをするということは1~

今までに様々なレコーディングを経験してきましたが、今回は私のその経験から以下の焦点に絞って書いてみようと思います。
 

レコーディングの依頼はどのようにくるのか?

第1回、第2回のエッセイで書いたサポートの仕事と同じく、レコーディングの仕事も一般的に雑誌やインターネットで募集していることはほとんどなく、人脈からの依頼や事務所からの依頼がほとんどです。
依頼が来るようにするための行動は、やはり人脈を増やすことが第一です。そしてその人脈への演奏面での信頼はもちろん、人としての信頼を得る事もとても大事です。ギターが上手なだけではなく、社会人として常識的な行動が出来るミュージシャンになることが仕事へ繋がるポイントです。
 

どのようなレコーディングの仕事があるのか?

一般的にアーティストのCDアルバムに収録するレコーディングを想像する事が多いと思いますが、その他にテレビやラジオなどで使われるジングル(番組の節目などに挿入される短い楽曲)のレコーディング・本番のレコーディングの前に、曲のテンポやキーやアレンジを確認するためのプリプロレコーディングと呼ばれるレコーディングなど、レコーディングといっても様々な種類のレコーディングがあります。
 

依頼を受けてから本番までの流れ

依頼を受けてからレコーディングに必要な資料を受け取ります。レコーディングの種類にもよりますが、プリプロレコーディングの場合はサポートの依頼の時と同じで、譜面は必要最小限の事だけが記入されたリードシートと、音源に関しては曲の流れがわかる程度の簡単なデモ音源がほとんどです。
また、本番レコーディングの場合はリードシートとプリプロレコーディングで出来上がった具体的な音源を受け取ることもあります。
譜面と音源を受け取ってから準備段階に入りますが、これらの資料はその通りにコピーして弾くということではなく、あくまで楽曲の完成のために煮詰めていくことを目的とした参考資料です。
何を準備するのか、何を確認するのかは人それぞれですが、私の場合の必ずする事前準備は、楽曲の雰囲気をしっかり確認することと、また、それに合う機材や楽器を選択し、レコーディング中に別の音色を要求されても対応出来るようにすることです。
具体的なギターフレーズの確認も重要ですが、レコーディングでは別のフレーズを要求されることもあるので、それらを想定した対応力が別途必要でしょう。
次回はレコーディング現場での内容について書いてみたいと思います。
浜中洋輔
 
 
 
 

2010年9月2日 GUITARの東大インストラクター 浜中洋輔


 

~浜中洋輔のレコーディングをするということは2~

今回はレコーディング現場について私の経験からまとめてみたいと思います。
レコーディング現場といっても大きなレコーディングスタジオでのレコーディングから、DAW(コンピューター上での楽曲制作)主体のホームレコーディングまでありますが、実際にレコーディングとはどのように行われているのでしょうか。
 

レコーディング現場にはどのような人がいるのか?

レコーディングの規模や種類により大きく変わりますが、メジャーで出版されるような、大きなレコーディング現場で関わる人を書いてみます。
① 実際に演奏するプレーヤー
② メロディーと簡単なコード付けを作成する作曲家
③ 作曲された楽曲を具体的に編曲するアレンジャー
④ 録音や編集作業を担当するレコーディングエンジニア
⑤ レコーディング時や編集作業時に細かな指示をするディレクター
⑥ 音楽制作における全責任を担う立場のプロデューサー
 

どのようにレコーディングするのか?

レコーディング方法に関しても楽曲のスタイルによって変わることもあれば、スタジオの規模によっても変わる事があります。
一般的にレコーディングは大きく分けて2種類の方法があります。
① バンドが全員で一度に録ってしまう一発録音
② パートごとに別々に録っていく方法
この2種類の方法はメリット・デメリットが違うため、事前の打ち合わせで効率の良い方を選びます。
 

どのようなことを要求されるのか?

現場では突然アレンジが変わることがしばしばあります。例えば「The Beatlesの~の曲の感じでアコギ入れて下さい」と要求される事もあれば、違う種類のギターやエフェクターを要求される事もあります。
このように演奏者に要求される内容は具体的なことや抽象的なことも多いです。しかし、その要求にしっかり応えることが出来ることが次へと繋がる重要ポイントであり、一流演奏家への道筋でしょう。そのために必要な努力として、
① たくさんの曲や色々な種類の音楽を聴くこと
② 機材・楽器をしっかり揃えること
 
レコーディングにはライブとは違う独特の緊張感があります。その緊張感に負けて失敗してしまうことも非常に多いです。その対策として、
③ 練習時は常に緊張感を持つため、録音しながら練習すること
 
自分の得意分野を持つことや、弾きたいように弾けることは演奏家としてとても重要なことの一つです。しかし、この様に現場で何を要求されるかわからない状況の中、その要求に応えられる対応力があることも演奏家として重要なことの一つです。
 
2回にわたって私自身の経験からレコーディングについて書きましたが、いかがでしたでしょうか?難しい部分もありましたが「百聞は一見にしかず」です。たくさんの経験をする中、ここで書いた内容が参考になれば幸いです。
 
 
 
 

2010年9月27日 GUITARの東大インストラクター 浜中洋輔


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